参考資料(2)

通潤橋の吹上樋の説明に「原理」が二種類あってややこしいので、どうにか統一できないか、という話があります。

「逆サイフォンの原理」と「連通管の原理」です。兼六園(金沢)の石樋 は「伏越の理」と称されていますが、 通潤橋と同じ構造です。 「『サイフォン(siphone)』とは『液体を、水面より高い位置を通して、 低い位置に移す為に用いる曲がった管』である。その運動を開始するため には、自然界ではほぼ起こりえない、 人為的なエネルギーを要する特殊な構造である。」というのが、かなり正確な定義のようです。

その「サイフォン」の絵を上下ひっくり返して単純に称した造語が「逆 サイフォン」のようです。 その運動は自然界の力で自然に始まることが決 定的な相違点であり、 サイフォンの文字を使用する論理的な説明は非常に難しいと思われます。

仕切りのある浄化槽や、昔ながらの温泉浴場などの原理は「連通管」であり、 仕切の厚さが違うだけで通潤橋の吹上樋そのものです。 この公衆浴場のしくみを「逆サイフォン」というには無理があるようです。

したがって理科の授業で習った「連通管」のほうが適切な説明用語だと思いますが、 日本語としての普及度で劣ります。最も単純な連通管の応用として、 同じ高さを違う場所に移す「水準管」という測量用具があります。両端をつまみ上げたビニル管に水を満たすと、 両端ともに同じ高さで水が安定することを利用しています。片方に水を注ぎ足すと、 水は水平になろうとして反対側から溢れ出ます。

この「水準管(water leveling pipe)」を説明に用いたほうが、 老若男女さらには外国からの観光客にもわかりやすいのではないでしょうか。

最終更新(2004/05/25)

国府高校:成田先生の見解

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