D 完成イメージ
 C 注意事項
 B 行程計画
 A 経緯
御船川眼鏡橋は、昭和63年5月3日の集中豪雨により流失したが、
大半の石材は回収され、保管されている。
 平成15年9月、保管された石材を有効利用し、付加価値を持つ形に
する必要が発生した。


御船川眼鏡橋 保存計画(A案)





1 現状


 
2 計画の立案ならびに検討

 御船町では、不足する石材の回収の目途が立たないために、現在残された石材を使用して、
次のような有効利用ならびに保存の方法の立案がなされた。

(1) 御船川眼鏡橋の1/4のミニチュアを造り、保存する。
(2) 実物大で片側のアーチのみを仮復元し、保存する。

 それぞれの方法をとった結果、どのような問題が発生するのかを検討し、5段階評価をし、
次に表す。


 評価基準となる項目が増えたとしても、評価合計の比率はあまり変わらないと考えられる。
「本復元の可能性」を残すことは、どの項目より優先される重要な要素であると考えられる。

3 結論

 本計画では、「実物大で片側のアーチのみ復元し、(本復元に向けて)保存する」こととする。










1 石材測定の注意事項

(A) 重要な面の順位は、
1 輪石の隣り合う面
2 輪石の下面(底面)
3 輪石の突き合わせ面
4 輪石の上面(背面) である。


(B) 石材の各面は平滑ではないため、六面
すべてに擬似平滑面を想定するための
規定を決定しなければならない。

(C) 想定した疑似平滑面が交わる点を石材
の角(カド)として、確定して測定しなけ
ればならない。

(D) 基本的な測定要素は右の通り、10個
であるが、H1・H2は、上底(A)と下底
(B)が平行かつ鉛直に対して直角な
状態で測定しなければならない。


(E) 長さは4辺を測定するが、配列計算上、
最も長い辺を採用するか、平均値を
採用するかは、石材の著しい欠け込み
の度合いによるので、規定を作って
おく必要がある。

(F) X1・Y1は、「輪石の隣り合う面」の角度
を決定するものであり、最も重要かつ、
精度を要する。石材の両端で寸法は
違うので、「どの数値を採用するのか」
の規定が必要である。


(G) 輪石の底面を水平面上に置き、ガタ
つきを見ながら疑似平面を決定し、
固定した上で、X1・Y1・B1を測定する。

(F) 長さによる輪石の列が決定しても、列内の輪石のX1・Y1・B1のすべてが一致しな
ければ、正しい配列ではない。さらに、隣り合う輪石の列の角度が違っても正しい
配列ではないことに注意。隣り合う列同士の角度は、アーチ半径から算出した輪石
の底面の線が基準となることにも注意。

(G) 輪石以外の石材について、今回の計画では、測定も組立も行わない。
(輪石以外の石材は、組み立てたアーチの周囲にレイアウトして配置する。)



2 運搬・組立上の注意事項

(A) 石材の移動・運搬の際は、布製のバンドを使用し、ワイヤロープを使用しない。

(B) 組み立てる際は、力点をゴム加工した、重量物用のクリップハンガーを使用する。

(C) 組み立てる際の支保工は鉄骨製とし、上下調整用のジャッキを装備する。

(D) 支保工は、聖橋(径間19.9m:矢部町)と同等の部材を使用し、強度を保証する。

(E) 石材は、切削・はつりを一切加えない。(石材を変形させない。)

(F) 万が一、組込不能な輪石が発生した場合、即座に他の石の検索ができるよう、
データ及びソフトは現場に常駐しておく。

3 その他の注意事項

(A) 石材を測定するルール作りの検討・手順の決定にあたっては、凹凸のある面と
面の延長上、どこを石のカドとするか、などについては、組立時の噛み合わせの
食い込み誤差を、組立中に一律調整できるような基準を設定する。

(B) 施工後のリスクマネジメントについて、事前に文書化し、承認を得ておく。