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石橋(いしばし) |
自然石で造られた橋。大きく桁橋・アーチ橋に分類される。アーチ橋は眼鏡橋とも言う。 |
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石造アーチ橋(せきぞうあーちきょう) |
台形の断面を持つ輪石を連続させて上に、凸の弧を造り、支点間に架け渡した形式の橋。 |
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支保工(しほこう) |
アーチ橋の組立・解体時に、アーチの下部を支える仮設構造物。 |
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径間(けいかん) |
支点間の距離。アーチ橋の場合、両岸の起拱(アーチが始まる位置)間の水平距離。スパン。 |
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拱矢(きょうし) |
アーチ起拱部からアーチ下面の最高部(通常は要石の下面)までの鉛直距離。ライズ。 |
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橋長(きょうちょう) |
両岸の親柱(外側)間の距離。親柱の無いアーチ橋の場合、輪石の上に築いた壁石の天端の長さ。上下流で違う場合、長い方を最大橋長とする。 |
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幅員(ふくいん) |
橋の幅。上流の壁石天端から下流の壁石天端までの距離。一定ではない場合、最大幅員と最小幅員を示す。地覆石・耳石などで突き出た長さは算入しない。
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輪石(わいし) |
台形断面のほぼ直方体の石材で、一般的にはアーチ状に布積・切込接ぎで積み上げる。 |
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壁石(かべいし) |
アーチの上下流端の上に積む石垣で、一般的には垂直に積み上げる。アーチの変形を抑え、強度を高めるために重要な部品。 |
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天端(てんば) |
一般に、構造物の最上端の部位。石橋の場合、壁石・袖石垣の最上端のことを言う。切天端・隅天端・巻天端等がある。 |
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地覆(じふく) |
石橋の路肩部分に、高欄の基礎として設置する石材。形状は多様で、路面材の見切り、排水溝壁の役割を兼ねる場合もある。 |
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高欄(こうらん) |
地覆の上に束柱を立て笠木でつなぎ、上下流の路面からの転落防止のための、橋軸に平行な柵状の工作物。 |
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親柱(おやばしら) |
高欄の両端を止めるための太い柱。通常は上下流の左右岸端に1本ずつ、計4本設置する。橋名・かな名・河川名・架設年等が刻字される。 |
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敷石(しきいし) |
石橋では、橋面舗装のために敷き詰める、表面が平滑な石材。通常は橋軸に直角・平行な布貼り。斜・乱貼なども見られる。 |
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空積(からづみ) |
石積・壁石積の伝統工法。石材の接合部の圧縮強度・摩擦力・重心など、全体強度確保に高度な技術を要する。穴太衆が打込接ぎ、種山衆が切込接ぎの空積み工法を継承している。 |
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練積(ねりづみ) |
空積の弱点を、コンクリート等を胴込・裏込材として充填した補強石積。高度な技術がほぼ不要で、面だけを自然石に見せるために、胴を抜いた控えの短い間知石が多用されている。 |
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布積(ぬのづみ) |
石垣を正面から見た意匠工法の一つで、長方形の石材の長辺を水平に並べて積上げ、縦目地は各段でずらす。 |
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谷積(たにづみ) |
正面意匠工法の一つで、長方形の石材をほぼ45度に傾け、下段の谷に落とし込むように積む。一段毎に左右から交互にしか積めない。 |
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乱積(らんづみ) |
不定形の石材を不規則に配置して積む意匠工法。正面意匠の芸術性が求められるとともに、控え方向での強度確保の両立が不可欠で、意匠工法の中でも最も高度な技術を要する。 |
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合端(あいば) |
アーチ輪石や壁石の隣り合う石材の接合面。切込接で空積を行う場合、少なくとも三寸(9cm)の合端接合巾が必要とされる。 |
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切込接(きりこみはぎ) |
打込接から進化した石積工法で、隣合う石材と石材の間の隙間が無く、合端は控え方向に三寸以上の接合巾を持つ。 |
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打込接(うちこみはぎ) |
隣合う石材の間(目地)の隙間に、中小の石を打ち込んで安定させる積み方。控え方向の重心構造を適切にすることが重要。 |
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目地(めじ) |
隣合う石材の間にできる隙間で、表面に見える接合部の模様。表面からごく浅い部分までを目地ということもある。合端と混同されやすく、明確な違いに留意。 |
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控長(ひかえちょう) |
石積みの表面から最奥までの石材の胴の長さ。表面積と胴の長さの関係が重要である。 |
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基礎(きそ) |
石積等の根石を支える下部構造。石橋の場合、起拱石を支える下部構造で、堅固な岩盤が一般的。沖積層上では、松の胴木や、コンクリートを基礎にする。 |
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中詰(なかづめ) |
上下流の壁石の間を充填し、アーチを押さえつけて安定させる構造材。壁石を押し出す原因となる材料・構造を採用してはならない。 |
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駄枘(だぼ) |
隣合う石材の両面の同じ位置に孔を掘り、玉石や金属の塊を嵌め込み、石材のズレを防止する部材。 |
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鎖石(くさりいし) |
通潤橋仕法書に著された工法。複数の石を駄枘を利用して鎖状にし、上下流の壁石の孕み出しを防止する働きがあると言われている。 |
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鞘石垣(さやいしがき) |
城壁や通潤橋等に見られる、反りを持つ石垣。直行する鞘石垣の出隅の算木積みの角に、刀の鞘のような特徴的な曲線が表れる。石橋において袖石垣の種類の一つ。 |
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袖石垣(そでいしがき) |
大きな石橋の、高い垂直な壁石を補強するための石垣。多様な形態があるが、中でも通潤橋の鞘石垣は最も合理的かつ高度な技術であり、これを超える設計概念は無く、完成された伝統工法と言える。 |
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曲尺(さしがね) |
直角に曲がったL型の物差し。表目と裏目、さらには2本使用することにより、多様な計算尺の役目も果たす。 |
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墨壺・墨差し(すみつぼ・すみさし) |
墨壺は、糸車の糸を、墨汁を含む綿壺を通して、糸の先に結んだカルコと呼ばれるピンで引き出して糸を弾き、木材や石材に直線を引く道具。墨差しは、竹でできた硬い筆で、細々した印や線、文字を書いたりする道具。 |
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ノミ(のみ) |
石工事の場合、石材に孔を掘る・表面を斫る・削るなどに使用する、円柱形の金属の棒の先を尖らせた工具。石頭などで叩いて使用する。作業内容に合わせ、丸ノミ・平ノミなどがあり、大小長短様々な形状がある。 |
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石頭(せっとう) |
玄翁の種類のうち中型の金槌。ノミやコヤスケの頭を叩いて石材を加工するための、補助道具として主に使用される。 |
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矢(や) |
石に穿った穴に詰め、ハンマーで叩き、石をせり割るクサビ状の金属製の工具。大きさの違いで、豆矢・中矢・飛矢などの名称がある。 |
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玄翁(げんのう) |
両端が尖っていない金槌の総称。小槌から大槌までの多様な名称のものがある。石橋工事では、直接叩いて割る、矢の頭を叩いて大割する時に使う7s程度の大槌と、合端加工のために使う2〜3s程度の端槌(はづち)の使用頻度が高い。 |
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ビシャン(びしゃん) |
石材の最終仕上げで使用する工具。四角錐の小さな突起が碁盤の目に刻まれ、直接または石頭で叩きながら表面を平滑に仕上げていく。突起の大小で番手があり、仕上げの程度を調整する。 |
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コヤスケ(こやすけ) |
石材の角を成形する場合に使用するノミの一種。ハンマーのような形状だが、石頭で頭を叩いて使用する。主な用途は小羽取り。 |
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石積(いしづみ) |
自然石を使用した法勾配一割(45°)未満の石組。布積、谷積、乱積等の積み方がある。 |
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石張(いしばり) |
自然石を使用した法勾配一割(45°)以上の石組。河川護岸等で採用される。水平面に組んだものも石張と言う。 |
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溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん) |
火砕流が堆積した場所で、高熱により熔解した堆積物が溶結して出来た岩石。適度な硬さと加工の容易さから、九州の石橋に多用されている。 |
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安山岩(あんざんがん) |
火成岩の一種で、二酸化ケイ素(シリカ:SiO2)を60%程度含むため極めて硬い。シリカ紛は吸引すると発癌性があるとされ、長時間の加工には防塵が必要である。 |
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砂岩(さがん) |
主に砂が続成作用により固結してできた堆積岩。堆積面に沿って割れやすく、石橋・石垣の材料としては耐久性に劣る。 |
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花崗岩(かこうがん) |
石英・雲母・長石等からなる深成岩。国内で使用される石材の中では最も硬く、人力での加工は困難を極める。 |
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野面石(のづらいし) |
自然の玉石や、崖から崩れ出したままの石。人の手が加えられていない石で、自然素材としての付加価値は高い。 |
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間知石(けんちいし) |
日本の石積みに多用されている四角錐状の石材。早く安く仕上げる合理性を追求した結果の形状であるが、空積に使用できる石材ではない。 |
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割石(わりいし) |
任意の大きさに、形を決めずに割った石材。多目的に使用されるが、石橋の場合の中詰材としては優秀な素材。 |
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雑割石(ざつわりいし) |
正四角柱(縦横60cm以上、高さ30cm以上)を対角線に沿って四分割し、二等辺三角柱にしたような形状の、整形不充分な石材。 |
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mason |
石工・煉瓦職人・タイル工等の英語訳。石工頭領は、Master Mason(マスター・メイスン)、石橋は、Masonry
Bridge(メイスンリー・ブリッジ)。石工養成講座修了者は、TANEYAMA MASONs。 |
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Stone cultural assets |
石造文化財の英語訳。古代文明による石造遺跡や、現代までに造られた石造土木建築物のうち、文化的価値の高いものの総称。 |
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